みなさん、こんにちは!給与転職編集部です。
現代のIT化に伴い、さまざまな企業でサービスや自社の管理システムツールとして、IT技術を取り入れるようになりました。
システムは大規模になればなるほど、必要なエンジニアが増えていき、それに伴いその開発を管理するプロジェクトマネージャーという職が必要になります。
今回の記事では、プロジェクトマネージャーの基本的な業務内容・必要なスキル、平均給与、プロジェクトマネージャーへの転職方法について紹介していきます。
それでは本編へ参ります。
目次
プロジェクトマネージャー(PM)とは
プロジェクトマネージャ(PM)は、IT分野の開発プロジェクトで責任者として、実行計画策定や予算、要員管理を担当すします。プロジェクトは数人から数百人規模まで様々で、計画に基づき実行計画を策定し、人員とリソースを調達し、進捗や品質の管理を行う。進捗管理は重要で、問題や課題に早期に対処する。顧客へ進捗報告し、意見の調整も担当。プロジェクト終了時にはシステムの使いこなしを支援し、必要なドキュメントを作成。プロジェクトの成功は企業発展に影響し、PMは大きな責任を負う。プロジェクトマネージャの仕事は情報システムを活用し、会社や社会の構築に貢献するが、同時に重大な責任を背負っている。
具体的な業務内容
上記にプロジェクトマネージャーの業務内容について紹介しましたが、端的にいうと仕事は以下の通りです。
- スコープ管理
- スケジュール管理
- 品質管理
- 調達・資源管理
- コスト管理
- リスク管理
- ステークホルダーとのコミュニケーション
スコープ管理
ライアントの要望に応じて、システム化構想や運用プランを策定するなど、プロジェクトの範囲(=スコープ)を決定することです。クライアントからヒアリングした情報をもとに、プロジェクトの目標や必要なタスクも定義します。また、クライアントの状況が大きく変わったときには、スコープ変更の提案・調整なども行います。
スケジュール管理
プロジェクトスケジュールを作成し、プロジェクトの完了予定日やマイルストーンなどを定義します。また、適宜プロジェクトの進捗状況を確認し、必要に応じて納期やマイルストーンの調整、スケジュールの見直しなどを行います。
品質管理
クライアントに納品する成果物の品質を定義し、品質基準をクリアするためのタスクのコントロールやプロジェクトメンバーの支援、成果物の品質チェックを行います。
調達・資源管理
プロジェクトの目的達成のために、必要な人材や資源の確保を行います。プロジェクトの推進期間中は、人員リソースと資源の継続的な見直しも行います。また、メンバーに対して、プロジェクトの目的や目標を浸透させるのも役割の一つです。
コスト管理
プロジェクトの人件費や外注費、ソフトウェアなどの費用を管理し、予算を超えないように管理します。
リスク管理
あらかじめプロジェクトで発生しうるリスク(問題や課題)を洗い出し、リスク別に対応方針を立案します。プロジェクト中にリスクが顕在化した場合は、状況に応じて対応方針を決定し、タスクに落とし込みます。
ステークホルダーとのコミュニケーション
ステークホルダーと適切にコミュニケーションを取り、協力関係を築いたり、ステークホルダーの懸念点や不安点を払拭したりします。
プロジェクトリーダー(PL)との違い
企業によっては、プロジェクト管理にかかわる役割としてプロジェクトリーダー(PL)というポジションを設けている場合もあります。プロジェクトマネージャーとプロジェクトリーダーを区別する明確な定義はなく、さまざまな解釈がありますが、ここでは一例として特定領域の責任者という解釈で解説をしていきます。
プロジェクトマネージャーがプロジェクト全体を統括する責任者であるのに対して、プロジェクトリーダーはプロジェクトの領域単位のリーダーを指します。大きなプロジェクトでは、販売領域・調達領域・会計領域などの業務領域や、設計/開発・インフラなどのシステム領域でチームが分かれていることが多いです。
これらの領域単位で配置されるリーダーをプロジェクトリーダーと呼び、その領域のタスクを推進するとともにスケジュール管理やメンバーのマネジメント、リスク管理などを行います。
プロダクトマネージャー(PdM)との違い
プロダクトマネージャーも企業により定義は異なりますが、自社製品でのプロダクト開発の責任者と定義されるケースが多いでしょう。ここでもその前提で解説します。
プロダクトマネージャーは、ユーザーの課題を解決しつつ、収益の獲得やプロダクトのビジョン実現を目指すために、プロダクト作り・改善を行っていきます。エンジニアやデザイナー、マーケターなどをまとめあげ、プロダクト成功に導いていくポジションです。
プロジェクトマネージャーの役割は、QCDに責任を持ちプロジェクトの目標を達成することとされます。一方、プロダクトマネージャーはユーザーに価値を提供し、プロダクトを成功させることに責任を持つといった立ち位置が多いでしょう。プロダクトを改善し続けるために、継続的にプロジェクトを実施していくことになることや、そのためにチームを率いていくといった点で両者には重なる部分もあります。
なお、プロジェクトマネージャーとプロダクトマネージャーの両者を区別するために、略称で呼ぶ際にはそれぞれ「PjM」「PdM」と呼ぶこともあります。
プロジェクトマネージャー(PM)に必要なスキル
プロジェクトマネージャーに必要なスキルについて下記の5つを紹介します。
- マネジメントスキル
- プロジェクト推進力
- コミュニケーション力
- 業界知識
- ITスキル
マネジメントスキル
最も重要なのは「マネジメントスキル」です。マネジメントと一言に言っても、スケジュールや予算、担当者、リスクなど、あらゆる要素を含んでいます。プロジェクトの円滑な進行のためには、どれか一つの要素を管理するだけでは上手くいきません。全ての要素を網羅的、かつ適切に管理する能力がプロジェクトマネージャーには求められるのです。
中でもスケジュールと予算管理は、プロジェクトの成功に直結します。タスクをベースに無理のないスケジュールになっているか、予算は削減できる箇所はなく適切な価格になっているかなど、プロジェクトマネージャーが管理するべき要素は多岐に渡ります。
自身の仕事の優先順位はもちろん、チームや社内外の関係者の仕事の優先順位も気に掛けながら、プロジェクト成功のために要素を管理する必要があります。
プロジェクト推進力
プロジェクト推進を行うプロジェクトマネージャーは、そのプロジェクトリーダーです。そのため本人の意識が及んでいなかったとしても、プロジェクト関係者はマネージャーにリーダーシップを発揮することを求めています。
プロジェクトの成功のためには、マネージャーの強いリーダーシップが欠かせません。業務の監督上必要であるばかりではなく、チームや社内外の関係者の士気を高めていくことも求められます。
プロジェクトが大きくなるほどに関係者は増え、意思の統一が難しくなります。そのため、マネージャーのリーダーシップがプロジェクトの成否を握っていると言っても過言ではありません。
コミュニケーション力
プロジェクトマネージャーはプロジェクトの調整役も担っています。そのため、あらゆる関係者と円滑なコミュニケーションを図るスキルが非常に重要です。
また、自身が所属するチームに留まらず、社内の他の部署や社外の関係者とのコミュニケーションも重要になります。プロジェクト成功のためには、関係各所との密なコミュニケーションが肝と言っても過言ではなく、様々な立場の利害関係者とコミュニケーションを通じた関係作りも非常に重要です。
立場や関係性が異なる中でも、プロジェクトの成功という一つの目標に向かって関係者をまとめることができるよう、コミュニケーションスキルは磨いておく必要があります。
業界知識
プロジェクトを円滑に進行する上で、業界に関する専門的な知識が非常に重要です。
プロジェクトマネージャーは実行者ではなく、あくまでも推進者の立場ですが、業界の専門的な知識がないと適切な指示を出すことができません。また、何か調整を加える際にも、知識がなければ最適な判断ができないでしょう。
また、プロジェクトマネージャーは関係者や顧客に対してプロジェクトを分かりやすく説明する義務が生じます。そのため、専門的な内容を正しく理解し、自分の言葉で分かりやすく伝えるスキルも必要なのです。
ITスキル
プロジェクトマネージャーとして働き、ITのプロとしてシステム開発を請け負う場合には、しっかりとしたスキルが必要になります。
ITエンジニアとクライアントとの間に入り、クライアントの希望をITの力をもって解決できるかどうかの判断をできるだけの知識が最低限必要になります。
ITエンジニアとしての経験が必須というわけではないですが、後述するプロジェクトマネージャーへのロードマップには、ITエンジニアとしての業務経験が含まれているのも事実ですので、必須スキルの1つとなります。
プロジェクトマネージャー(PM)の平均年収
2022年版のdodaの「平均年収ランキング」ではプロジェクトマネージャーの平均年収は686万円となっており、SE・プログラマーなどほかのIT系職種と比較しても、プロジェクトマネージャーの給与水準は高くなっています。背景として、プロジェクトマネージャーはプロジェクトの成功という大きなミッションを背負っており、高度かつ幅広い知識・経験が求められることが考えられます。
一方で、プロジェクトマネージャーになれば必ずしも平均年収に近い給与を得られるわけではなく、年齢や企業によって400万円~1200万円程度と大きな幅があります。主に一次請けが主体となるIT企業や外資系の大手ソフトウェアメーカーなどでは、年収が高くなる傾向があります。
また、大規模なプロジェクトを請け負っている企業ほど、高いマネジメント能力や豊富な知識・業界経験が求められるため、年収も高くなるでしょう。
ITエンジニアの職種別平均年収(平均年収(全体)の高い順並べ)
職種 | 平均年収(全体) | 平均年収(年代別) | |||
---|---|---|---|---|---|
20代 | 30代 | 40代 | 50代以上 | ||
プロジェクトマネジャー | 686万円 | 497万円 | 683万円 | 804万円 | 852万円 |
プリセールス | 594万円 | 434万円 | 576万円 | 885万円 | – |
ITコンサルタント | 590万円 | 448万円 | 655万円 | 871万円 | 884万円 |
IT戦略/システム企画 | 587万円 | 412万円 | 532万円 | 687万円 | 828万円 |
研究開発 | 549万円 | 407万円 | 628万円 | 772万円 | 809万円 |
データサイエンティスト | 513万円 | 445万円 | 587万円 | 718万円 | – |
システム開発/運用 | 463万円 | 369万円 | 503万円 | 581万円 | 630万円 |
セキュリティエンジニア (脆弱性診断/ネットワークセキュリティ) | 457万円 | 367万円 | 519万円 | – | – |
サーバーエンジニア | 453万円 | 383万円 | 516万円 | 604万円 | 732万円 |
パッケージ導入/システム導入 | 441万円 | 386万円 | 505万円 | 635万円 | – |
ネットワークエンジニア | 436万円 | 363万円 | 504万円 | 655万円 | 716万円 |
制御系ソフトウェア開発 | 428万円 | 355万円 | 501万円 | 647万円 | 654万円 |
スマホアプリ/ ネイティブアプリ系エンジニア | 426万円 | 364万円 | 503万円 | – | – |
Webサービスエンジニア | 417万円 | 365万円 | 482万円 | 602万円 | 630万円 |
SE/プログラマ | 413万円 | 364万円 | 481万円 | 563万円 | 572万円 |
データベースエンジニア | 403万円 | 359万円 | 467万円 | – | – |
テクニカルサポート | 397万円 | 346万円 | 413万円 | 494万円 | 541万円 |
デバッグ/テスター | 376万円 | 324万円 | 391万円 | 497万円 | 679万円 |
運用/監視/保守 | 364万円 | 328万円 | 415万円 | 504万円 | 533万円 |
ヘルプデスク | 342万円 | 302万円 | 358万円 | 443万円 | 464万円 |
プロジェクトマネージャー(PM)への転職方法
引用:職業情報提供サイト
転職に役立つ資格
いままで説明したようにプロジェクトマネージャーとして働く上で、必須となる資格はありません。
ただ、プロジェクトマネージャーを仕事していく上で、よりスキルの証明となる資格についていかにてご紹介します。
- PMP
- プロジェクトマネージャ試験
- NPMO認定PMO-STMシリーズ
PMP
PMP® とは、PMI 本部が認定しているプロジェクトマネジメントに関する国際資格です。
一般社団法人PMI
PMP® 試験は、受験者のプロジェクトマネジメントに関する経験、教育、知識を測り、プロフェッショナルとしての確認を目的として実施されます。
専門知識を有していることを証明するために、米国PMI本部が資格認定を行うものであり、法的な資格、免許ではありません。
PMP® 資格は、プロジェクトマネジメントに関する資格のデファクト・スタンダードとして広く認知されており、プロジェクトマネジメント・スキルの評価基準として、IT・建設をはじめとする多くの業界から注目されています。
プロジェクトマネージャ試験
<期待する技術水準>
プロジェクトの目的の実現に向けて、プロジェクトマネジメントの業務と役割を円滑に遂行するため、次の知識・実践能力が要求される。
独立行政法人情報処理推進機構
- 組織の戦略及びシステム全般に関する基本的な事項を理解している。
- プロジェクトを取り巻く環境の変化、及びステークホルダの期待を正しく認識して、プロジェクトの目的を実現するプロジェクト計画を作成できる。
- プロジェクトの目標を設定して、その達成に最適なライフサイクルと開発アプローチの選択、及びマネジメントプロセスの修整ができる。
- プロジェクトマネジメントの業務の分担に応じて、プロジェクトチームの全体意識を統一してパフォーマンスの向上を図り、またプロジェクトチームの自律的な成長を促進できる。
- プロジェクトに影響を与えるリスクや不確かさに適切に対応するための多様な考えを理解して、変化に柔軟に適応できる。
- プロジェクトの計画・実績を適切に分析・評価できる。また、その結果をプロジェクトのその後のマネジメントに活用できるとともに、ほかのプロジェクトの参考に資することができる。
NPMO認定PMO-STMシリーズ
PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)とは「組織内における個々のプロジェクトマネジメントの支援」を行う構造システムであり、組織的なPM能力の向上に貢献する重要な役割を担っています。
一般社団法人日本PMO協会
そして、そこで活躍する人材には、組織のプロジェクトマネジメントの支援を通じてプロジェクトの成功率を高めるビジネススキルが期待されています。
NPMO認定PMO-S™資格は、PMOの現場業務において習得すべき知識を確認し、それを認定する資格です。
NPMO認定PMO-S™資格は一般社団法人日本PMO協会が資格認定を行っております。
プロジェクトマネージャー(PM)までのキャリア
プロジェクトマネージャーには、必要な資格や学歴などはありませんが、システム開発に携わった経験やプロジェクトマネジメントなどの実務経験が求められています。その上でプロジェクトマネージャーになる方法は以下のどちらかです。
- 新卒からプロジェクトマネージャーとして働ける会社に入る(SIerやコンサル系)
- プログラマーやエンジニアを経験した上で、プロジェクトマネージャーをしている会社へ転職
プロジェクトマネージャーとして働ける会社に入る(SIerやコンサル系)
ITコンサル会社では、プロジェクトマネージャーとして働く求人を新卒に出しているので、そこから入っていくのが、確実な方法になります。しかしながら、このような会社は、求人倍率も高く入社するのは困難となります。
①番の方法が叶わない場合がほとんどですので、上記画像でも示すように②番の方法が正攻法といえます。
プログラマーやエンジニアを経験した上で、プロジェクトマネージャーをしている会社へ転職
ITエンジニアとして開発業務などを担当した上で、社内または転職をした上でプロジェクトマネージャーを目指すのがもっとも一般的な方法になります。
プロジェクトマネージャー(PM)からのキャリアプラン
プロジェクトマネージャーは一種の目標となる職業でもありますが、そこから先の職種としてもいかのようなキャリアプランがあります。
ITコンサルタントへの転職
プロジェクトマネージャーとして身につけた、ITスキルやコミュニケーション能力を生かして企業が抱えるITに関する課題の抽出から解決案の提案を行います。
プロジェクトマネージャーではクライアント企業または自社プロダクトの要望機能を実現するためにITの側面のみをスコープとして捉えるだけでしたが、ITコンサルタントは業務領域がさらに広がり会社が抱える課題を解決するようになります。
事業会社の情報システム部門(社内SE)へ転職
プロジェクトマネージャーとして様々な企業の機能を実現した経験を活かして、自社のシステムを推進する立場として管理していく立場になります。
いわゆるプロジェクトマネージャーの枠を越え、プロダクトマネージャーとして働くことになります。
いままでは、必要機能を実現するためのプロジェクトを管理する立場でしたが、これからはプロダクトに必要な機能を考え、実装する立場となるのでより責任がかかってくることになります。
CIO・CTOなどの最高責任者を目指す
プロジェクトマネージャーとしてさまざまな機能の実現や、クライアント企業の課題を解決してきた経験を活かし、企業の技術のトップして会社のITに対して責任をもつ立場となります。
CIO(情報統括役員):自社の経営理念に合わせた情報化戦略を立案し、実行すること
CTO(最高技術責任者):技術戦略の意思決定、技術経営、エンジニアの採用と教育などを主に担います。
まとめ
いかがだったでしょうか?
プロジェクトマネージャーの業務内容についてわかりいただけましたでしょうか。
すこしでもあなたのITエンジニアとしてのキャリア形成の一助になれれば幸いです。
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